42:1-5 ヤコブは、エジプトに穀物があると知って、息子たちに、「どうしてお前たちは顔を見合わせてばかりいるのだ」と言い、更に、「聞くところでは、エジプトには穀物があるというではないか。エジプトへ下って行って穀物を買ってきなさい。そうすれば、我々は死なずに生き延びることができるではないか」と言った。そこでヨセフの十人の兄たちは、エジプトから穀物を買うために下って行った。ヤコブはヨセフの弟ベニヤミンを兄たちに同行させなかった。何か不幸なことが彼の身に起こるといけないと思ったからであった。イスラエルの息子たちは、他の人々に混じって穀物を買いに出かけた。カナン地方にも飢饉が襲っていたからである。 ヘブライ語原典では「ヤコブは穀物がエジプトにあることを見た。そしてヤコブは彼の息子たちに言った。『なぜ、あなた方は互いに見ているのか』。そして彼は言った。『見よ、私はエジプトに穀物があることを聞いた。エジプトに、そこに下れ。そして私たちのためにそこから穀物を買え。そして私たちは生きる。そして私たちは死なない。』 それでヨセフの10人の兄たちは穀物をエジプトから買うために下った。しかし、ヨセフの弟ベニヤミンをヤコブは彼の兄たちと共に遣わさなかった。なぜならヤコブは彼に言った。『災難が起きないように』と。そしてイスラエルの息子たちは、穀物を買うためにやってくる人たちの中に(混ざって、エジプトに)来た。なぜならカナンの地に飢饉があったからである」です。 ファラオの夢に神様が啓示されたとおり7年の豊作の後、エジプトと周辺の国々には厳しい飢饉が襲っていました。そして、その飢饉はヨセフの父ヤコブや兄たちのいるカナン地方にも及んでいました。 ヤコブの息子たちは、エジプトに穀物があることを知らないわけではないようで、互いに顔を見合わせていたようです。カナンからエジプトまでは400kmもありましたので、エジプトまで行って食料を持ち帰ってくることは大変なことでした。それで互いに、誰が行こうと言い出すのかと顔を見合わせていたのでしょう。 ヤコブは、エジプトに穀物があると知り、互いに顔を見合わせている息子たちに業を煮やして、息子たちにエジプトへ下って穀物を買ってくるよう命じます。 ただ、ラケルが産んだヨセフの弟ベニヤミンだけは、彼らと一緒に行かせませんでした。このことは何を示しているでしょうか。ヤコブは、かつてベニヤミンと同じラケルの子ヨセフを兄たちのもとに遣わした際に、ヨセフを失いました。兄弟たちがヨセフをどうにかしたとは思わないまでも、少なくとも兄たちはヨセフを守れませんでした。ヤコブは、母親が異なる他の兄弟たちに疑念を抱いていたことが伺えます。 こうしてベニヤミンを除く10人の息子たちは、穀物を買うために周辺の国々の人々に混じってエジプトに向かい、そして着きました。飢饉はそれほどに過酷なものでした。 42:6-17 ところで、ヨセフはエジプトの司政者として、国民に穀物を販売する監督をしていた。ヨセフの兄たちは来て、地面にひれ伏し、ヨセフを拝した。ヨセフは一目で兄たちだと気づいたが、そしらぬ振りをして厳しい口調で、「お前たちは、どこからやって来たのか」と問いかけた。 彼らは答えた。「食糧を買うために、カナン地方からやって参りました。」 ヨセフは兄たちだと気づいていたが、兄たちはヨセフとは気づかなかった。ヨセフは、そのとき、かつて兄たちについて見た夢を思い起こした。ヨセフは彼らに言った。「お前たちは回し者だ。この国の手薄な所を探りに来たにちがいない。」と言うと、彼らは答えた。 「僕どもは、本当に12人兄弟で、カナン地方に住むある男の息子たちでございます。末の弟は、今、父のもとにおりますが、もう一人は失いました。」 すると、ヨセフは言った。「お前たちは回し者だとわたしが言ったのは、そのことだ。その点について、お前たちを試すことにする。ファラオの命にかけて言う。いちばん末の弟を、ここに来させよ。それまでは、お前たちをここから出すわけにはいかぬ。お前たちのうち、だれか一人を行かせて、弟を連れて来い。それまでは、お前たちを監禁し、お前たちの言うことが本当かどうか試す。もしそのとおりでなかったなら、ファラオの命じかけて言う。お前たちは間違いなく回し者だ。」 ヨセフは、こうして彼らを3日間、牢獄に監禁しておいた。 ヘブライ語原典では「ヨセフは、すべての国の民に売る人で、この国の上に支配者として君臨していた。そしてヨセフの兄たちが来た。彼らは顔を地に向けて、ヨセフにひれ伏した。ヨセフは彼の兄たちを見て、彼らと知ったが、彼らに対して他人を装い、彼ら(エジプトの者たち)と共に、彼らに『あなた方はどこから来たのか』と厳しく話した。そこで彼らは『カナンの地から食糧の穀物を買うために来ました』と言った。ヨセフは彼の兄たちを知ったが、兄たちはヨセフを知らなかった。 そしてヨセフは、彼が彼らについて夢見た、あの夢を思い出した。そしてヨセフは彼らに言った。『あなた方はこの地の弱点を見るために、スパイをするために来た』と。 彼らはヨセフに向かって言った。『いいえ、ご主人様、あなたの僕たちは食糧を買うために来たのです。私たちは皆、一人の男の息子たちで、私たちは正直者です。あなたの僕たちである私たちは、スパイたちではありません。 しかしヨセフは彼らに言った。『いいえ、あなた方はまことにこの地の弱点を見るために来た』。 彼らは言った。『あなたの僕たちは12人の兄弟で、カナンの地の一人の男の息子たちです。そしてご覧ください。一番下の者は今日、父と一緒にいます。あと一人の彼はいません(失いました)』。 ヨセフは彼らに言った。『私があなた方に、あなた方はスパイをしているとあなた方に言ったことは、それだ。このことであなた方は試される。ファラオは生きている(ファラオの命にかけて言う)、もしあなた方の一番下の弟がここに来ることがなければ、ここからあなた方は出られない。あなた方の中から一人を遣わし、そしてあなた方の弟を連れて来い。そしてあなた方は監禁されよ。そしてあなた方の言葉が、あなた方と共に真実かどうか、またファラオの命によって、あなた方はスパイをしているか、試される』。そして彼らを、見張りの所(留置所)に三日間、集めた。」です。 ヨセフは、すべての国の民にものを売る責任者で、エジプトの国の上に支配者として君臨していました。そしてヨセフの兄たちが来て、顔を地に向けて、ヨセフにひれ伏しました。 ヨセフは兄たちを見て、彼らと分かりましたが、彼らに対して他人を装い、エジプトの者たちと共に、兄たちに「あなた方はどこから来たのか」と厳しく話しました。そこで兄たちは「カナンの地から食糧の穀物を買うために来ました」と言いました。ヨセフは彼の兄たちだと分かりましたが、兄たちはヨセフだと分かりませんでした。 ヨセフは兄たちが目の前にひれ伏している様子を見て、かつて兄たちに話したあの夢、畑で収穫したヨセフの穂束に向かって兄たちの穂束が集まってひれ伏した夢を思い出していました。 ヨセフは兄たちであることを知っていましたが、彼らに他人を装って、エジプト人たちと共に、彼らに厳しく話し出し、「どこから来たのか」と尋ね、彼らにスパイ容疑をかけます。 それに対して兄たちは、自分たちは食糧を買うために来たのであり、カナンに住む1人の男の息子たちで、正直者です、決してスパイなどではありません、と申し立てます。自分たちの出自を明らかにすることで、スパイなどではなく、正直者であることを理解してもらおうとしたのです。 するとヨセフは「私があなた方にスパイをしていると言ったのは、まさにそのことだ」と言います。後から分かるのですが、ヨセフが兄たちにこの嫌疑をかけたのは、父ヤコブと弟ベニヤミンの安否を確かめるためだったのです。 兄たちは、その嫌疑を晴らそうと、父ヤコブのことや弟ベニヤミンのことを話しましたが、ヨセフは簡単には信じなかったのです。ヨセフは、兄たちのうちの一人をカナンにやって、一番年下の弟を連れて来るよう命じます。そして彼らを留置所に3日間、監禁します。 ヨセフは彼らが兄たちであることを知った時、どうして身を明かさなかったのでしょうか? ヨセフの目的はどこにあるのでしょうか? 穴に落した兄たちに報復したかったのでしょうか? 兄たちを懲らしめたかったのでしょうか? そうではありません。 ヨセフが2人の息子たちにつけた名前からも、彼は神様がヨセフの苦難に報いてくださったことで、もう十分だったのです。ただヨセフが心にかけていたことは、13年前生き別れになった年老いた父イスラエルのことと、同じ母の子である弟ベニヤミンのことでした。ただ、兄たちがヨセフにしたことを、その後、悲嘆の暮れる父イスラエルと共に暮らして、どのように感じ、考えているか、彼らの真実の姿を知りたかったのです。そのためにヨセフは兄たちを3日間、拘留し、彼らを観察しようと考えました。 42:18-22 3日目になって、ヨセフは彼らに言った。 「こうすれば、お前たちの命を助けてやろう。わたしは神を畏れる者だ。お前たちが本当に正直な人間だというのなら、兄弟のうち一人だけを牢獄に監禁するから、ほかの者は皆、飢えているお前たちの家族のために穀物を持って帰り、末の弟をここへ連れて来い。そうして、お前たちの言い分が確かめられたら、殺されはしない。」 彼らは同意して、互いに言った。「ああ、我々は弟のことで罰を受けているのだ。弟が我々に助けを求めたとき、あれほどの苦しみを見ながら、耳を貸そうともしなかった。それで、この苦しみが我々にふりかかった。」 すると、ルベンが答えた。「あのときわたしは、『あの子に悪いことをするな』と言ったではないか。お前たちは耳を貸そうともしなかった。だから、あの子の血の報いを受けるのだ。」 ヘブライ語原典では「第三の日、ヨセフは彼らに言った。『この事を行え。そしてあなた方は生きよ。私は神を畏れている。もしあなた方が正直なら、あなた方の兄弟の一人はあなた方の見張りの家に監禁されるように。そしてあなた方は、あなた方の飢える家族のために穀物を持って行け。そしてあなた方の一番年下の弟を、私のところに連れて来い。(そのことによって)あなた方の言葉が確証される。そうすればあなた方は死なない』。そこで彼らは、そのように行った。彼らは兄弟どうし、それぞれ言った。 『まことに私たちは、私たちの弟のことで罪を犯した。あの時、彼が慈悲を乞うた時、私たちは彼の魂の苦しみを見た。しかし、私たちは聞かなかった。だから私たちにこの苦しみが来たのだ』。そこでルベンが彼らに答え言った。『(あの時)私はあなた方に、その子に罪を犯すなと言ったではないか。しかし、あなた方は聞かなかった。だから彼の血も求められている(彼の血の報いを求められている)』。」です。 ヨセフの兄たちが拘留されて3日後、ヨセフは彼らに命じて言いました。「私は神を畏れる者です。もし、あなた方がスパイではなく、あなたが言ったとおりの正直者だと言うならば、兄弟の1人をあなた方の身代りとして拘置所に置いて、カナンの飢えている家族のために穀物を持ち帰りなさい。そして一番年下の弟を連れてエジプトに戻るならば、あなた方がスパイではないことは証明されるでしょう。そうしなければ、あなた方の身代りとして監禁される者は、あなた方のスパイ容疑の身代りに殺されることとなろう」と。そこで彼らは、言われたとおりに実行することにしました。 兄弟たちは、今、自分たちの身の上に起こっていること、スパイ容疑をかけられて弟を拘留され、再び、父ヤコブの悲嘆を招くようなこと(ベニヤミンをエジプトに連れてくること)を、カナンの地で待っている父ヤコブに提案しなければならないことに苦しんでいました。 そして、このことはかつて自分たちがヨセフを妬み、心から嘆願するヨセフの苦しみに目に留めることなく、穴に落したことの報いと考え、悔やみました。 ルベンは、「(あの時)私はあなた方に、その子に罪を犯すなと言ったではないか。しかし、あなた方は聞かなかった。だから彼の血も求められている(彼の血の報いを求められている)」と言います。 42:23-28 彼らはヨセフが聞いているのを知らなかった。ヨセフと兄弟たちの間に、通訳がいたからである。ヨセフは彼らから遠ざかった泣いた。それからまた戻って来て、話をしたうえでシメオンを選び出し、彼らの見ている前で縛り上げた。ヨセフは人々に命じて、兄たちの袋に穀物を詰め、支払った銀をめいめいの袋に返し、道中の食糧を与えるように指示し、そのとおりに実行された。 彼らは穀物をろばに積んでそこを立ち去った。途中の宿で、一人がろばに餌をやろうとして、自分の袋を開けてみると、袋の口のところに自分の銀があるのを見つけ、ほかの兄弟たちに言った。 「戻されているぞ、わたしの銀が。ほら、わたしの袋の中に。」 みんなの者は驚き、互いに震えながら言った。 「これは一体、どういうことだ。神が我々になさったことは。」 ヘブライ語原典では「彼らはヨセフが聞いていることを知らなかった。なぜなら彼らの間に通訳者がいたからである。そしてヨセフは彼らから離れた。そして泣いた。そして彼らの所に戻った。そして彼らに話し、彼らの中からシメオンを捕えた。シメオンを彼らの目の前で縛った。 そしてヨセフは命じた。『彼らの入れ物を穀物で満たし、彼らの銀をそれぞれの彼の袋に返すように。そして彼らに旅のための食糧を与えるように。』と。そして彼らにそのように行った。 彼らは彼らの穀物を彼らのロバたちの上に載せた。そして、そこから行った。宿で彼のロバに飼料を与えるために袋を開けた一人が、彼の銀を見た。なんとそれは彼の大きい袋の口にあるではないか。そして彼の兄弟たちに言った。『私の銀が返されている。見よ、私の大きい袋の中に』。彼らの心がとび出た。彼らは【神が私に行われたこれは、何なのか】と互いに言い合って、震えた。」です。 10人の兄たちが留置所で話し合っていることを、ヨセフは聞いていました。それまでは通訳者を介してヨセフと兄たちは話していたため、兄たちは話の内容を聞かれていることに気付きませんでした。兄たちの話を聞いて、ヨセフは穴に落とされた日のことを兄たちが悔やみ、苦しんでいることを知りました。また、悲嘆して暮らしてきたであろう父を思い、その様子を見ながら暮らしてきた兄たちの悔いを思い、幼く別れた弟ベニヤミンのことを思って、ヨセフは泣きました。 そこでヨセフは、3日たってから変更し、シメオンだけを残して兄たちを帰し、兄たちが食糧の代金として支払った銀をそれぞれの袋に返して、旅路の食糧を持たせるよう命じました。側近たちは命じられたとおりにしました。これは兄たちの悔いを知ったヨセフの、兄たちへの愛の行為でした。兄たちは、エジプトで買った穀物を彼らのろばの上に載せてカナンに向けて出発しました。 カナンに戻る道中、宿でろばに飼料を与えようと袋を開けた兄の1人が彼が穀物の代金として支払ったはずの銀を、彼の大きな袋の口に見つけます。彼から銀が袋の中に戻されていることを聞いた他の兄たちは仰天し、神様が私たちに行われたこの事はいったいどのような意味があり、神様は自分たちにどのように報われようとしているかと恐れ、震えました。 まさかそれがヨセフの兄たちへの愛の行為だとは知らず、そのことによってどのように酷い報いを受けることになるのかと恐れたので、震えたのです。 42:29-38 一行はカナン地方にいる父ヤコブのところへ帰って来て、自分たちの身に起こったことをすべて報告した。「あの国の主君である人が、我々を厳しい口調で問い詰めて、この国を探りに来た回し者にちがいないというのです。もちろん、我々は正直な人間で、決して回し者などではないと答えました。我々が十二人兄弟で、一人の父の息子であり、一人は失いましたが、末の弟は今、カナンの地方に住む父のもとにいますと言ったところ、あの国の主君である人が言いました。『では、お前たちが本当に正直な人間かどうかを、こうして確かめることにする。お前たち兄弟のうち、一人だけここに残し、飢えているお前たちの家族のために、穀物を持ち帰るがいい。ただし、末の弟を必ずここへ連れて来るのだ。そうすれば、お前たちが回し者ではなく、正直な人間であることが分かるから、お前たちに兄弟を返し、自由にこの国に出入りできるようにしてやろう。』」 それから、彼らが袋を開けてみると、めいめいの袋の中にもそれぞれ自分の銀の包みが入っていた。彼らも父も、銀の包みを見て恐ろしくなった。父ヤコブは息子たちに言った。 「お前たちは、わたしから次々と子供を奪ってしまった。ヨセフを失い、シメオンも失った。その上ベニヤミンまでも取り上げるのか。みんなわたしを苦しめることばかりだ。」 ルベンは父に言った。「もしも、お父さんのところにベニヤミンを連れて帰らないようなことがあれば、わたしの二人の息子を殺しても構いません。どうか、彼をわたしに任せてください。わたしが、必ずお父さんのところに連れ帰りますから。」 しかし、ヤコブは言った。「いや、この子だけは、お前たちと一緒に行かせるわけにはいかぬ。この子の兄は死んでしまい、残っているのは、この子だけではないか。お前たちの旅の途中で、何か不幸なことがこの子の身に起こりでもしたら、お前たちは、この白髪の父を、悲嘆のうちに陰府に下らせることになるのだ。」 ヘブライ語原典では「そして彼らは、父ヤコブがいる所、カナンの地へ帰った。そして父ヤコブに、彼らに起こった事のすべてを次のように語った。『あの国の主人であるあの人が、私たちに厳しく話しました。私たちをその地のスパイだとしたのです。それで私たちは、彼に【私たちは正直な者たちで、スパイなどではない】と言いました。【私たちは1人の父から生まれた12人の兄弟で、1人はいません(失いました)。今日一番年下の弟は父と一緒にカナンの地にいます】と。すると、その地の主人であるその人は、私たちに次のように言いました。【この事で私はあなた方が正直なのかどうかを知ろう。あなた方兄弟の1人を私と一緒に置いておけ。そしてあなた方の家族の飢えのために(穀物を)取って、行け。そしてあなた方の一番年下の弟を私の所に連れて来い。それによって私はあなた方がスパイをしていないこと、あなた方が正直者であることを知ろう。そうすれば私はあなた方に兄弟を与え(返し)、この地であなた方が商売をすることを許そう】と』。 そして彼らは、彼らの袋を空にした。そして見よ、それぞれの彼の袋の中に、彼の銀の包みがあるではないか。彼らは包みを見つけた。彼らと彼らの父は、彼らの銀を見つけて恐れた。そして彼らの父ヤコブは彼らに言った。『あなた方は私にヨセフという子を失わせた。彼はいない。そしてシメオンもまた、彼はいない。そしてベニヤミンをあなた方は取る。これらはみんな私の上に起こったことだ』。ルベンは彼の父に言った。『もし私が、あなたの所にシメオンを連れて来れないなら、私の2人の息子たちを殺してください。だからベニヤミンを私の手に与えてください。そうすれば私は、あなたの所にシメオンを連れ戻しますから』と。しかしヤコブは言った。『私の息子ベニヤミンはあなた方と共に下ってはならない。なぜなら彼の兄は死んだ。そして彼が、彼だけが残された。そして、あなた方が行く道で災難がベニヤミンを呼ぶなら、あなた方は、白髪の私を深い悲しみの中で陰府に下らせる。」です。 カナンに戻った兄弟たちは父に、エジプトの司政者にスパイ容疑をかけられたこと、その嫌疑を晴らすために彼らは司政者に言われるままに親族について話したこと、その話の中で年下の弟がカナンで父と共にいることを話したことで、シメオンがエジプトで拘留され、弟を連れてエジプトに来るように命じられたこと、そのことによってスパイ容疑が晴れること、正直者の兄弟たちであろうことが立証されることを話しました。 それから、兄弟たちがそれぞれ、エジプトから持ち帰った穀物を開けたところ、それぞれの袋に穀物の代金が戻されることを知り、父ヤコブと兄弟たちは恐れおののきました。 そして、父ヤコブは彼らに言いました。「あなた方は私にヨセフという子を失わせた。彼はいない。そしてシメオンもまた、いない。そして、ベニヤミンをあなた方は取る。これらはみんな、私の上に起こったことだ」と。 長男ルベンは、ベニヤミンをエジプトに連れて行くことを拒む父に、自分の2人の息子たちを身代りにするので、信頼してベニヤミンを任せて欲しいと話します。しかしヤコブは、ヨセフを行かせたことで失ってしまい、その上、残ったベニヤミンを行かせて、旅の途中で何かが起こりでもしたら、年老いた父を悲嘆のうちに陰府に下らせることになるのだぞ、と言って拒みました。 |