安息日の礼拝  創世記の真相

創世記45章




45:1-3
 ヨセフは、そばで仕えている者の前で、もはや平静を装っていることができなくなり、「みんな、ここから出て行ってくれ」と叫んだ。だれもそばにいなくなってから、ヨセフは兄弟たちに自分の身を明かした。ヨセフは、声をあげて泣いたので、エジプト人はそれを聞き、ファラオの宮廷にも伝わった。ヨセフは兄弟たちに言った。「わたしはヨセフです。お父さんはまだ生きておられますか。」 兄弟たちはヨセフの前で驚きのあまり、答えることができなかった。

 ヘブライ語原典では「そしてヨセフは我慢することができなくなった。彼のそばに立っている者たちすべてに対して彼は叫んだ。『私のそばからすべての人を連れ出せ』と。だからヨセフが彼の兄弟たちに自分の正体を明かした時、彼と共に誰も立っていなかった。しかし彼が泣いた時、彼の声は与えた(響き渡った)。そしてエジプト人たちも、そしてファラオの家(の者)も、その声を聴いた。ヨセフは彼の兄弟たちに言った。『私はヨセフです。まだお父さんは生きておられますか』と。しかし彼の兄弟たちは彼に答えることができなかった。なぜなら、彼らは彼の前で怯えていたから。」です。

 ヨセフは、ユダが話した真実の言葉と、自身の命に代えてでもベニヤミンをカナンで待つ父のもとに帰して欲しいと嘆願する姿に、もはや平静を保つことができなくなりました。そして、彼のそばに仕える執事や側近たちを部屋から出し、ヨセフは兄たちとベニヤミンに正体を明かし、大声で泣きました。
 ヨセフは、兄たちが初めてエジプトに食糧を買いに来た時から、それが兄たちであることに気付いていました。ヨセフは、自分を穴に落とした兄たちの本心と、それ以降、兄たちがどう思って暮らしてきたのかを知るため、何度も彼らを試しました。
 しかし、兄たちがヨセフに対してしたことを後悔していたことを知り、ヨセフと同じ母の子であるベニヤミンを思いやる気持ちに、ヨセフは込み上げるものを抑えきれなくなっていたのです。
 ヨセフにそう思わせたもっと大きな要因はユダにありました。他の兄弟たちと違って誰にも責任転嫁せず、自分の命をかけてベニヤミンを守ろうとし、真実の言葉を告げことにありました。

 ユダはもともと、兄弟たちが穴に落としたヨセフを何とかしようとしていました。「弟を殺して、その血を覆っても、何の得にもならない。それより、あのイシュマエル人に売ろうではないか。弟に手をかけるのはよそう。あれだって、肉親の弟だから」(創37:26-27)と言っています。
 しかし、積極的にヨセフを兄たちから救い出す勇気もなかったのです。ユダは兄たちの報復や目を恐れ、弟ヨセフを犠牲にしたという深い悔いが残ったのでしょう。その自分自身の”弱さ”を、ユダは悔い、兄たちと別れて暮らす選択をしたのだと思われます。 
 そのユダがヨセフの前で、自分の生涯と命に代えてベニヤミンを助け、年老いた父の待つカナンに帰してやって欲しいと嘆願したのです。そのユダの言葉が、ヨセフの魂に響き、ヨセフは兄弟たちが抱き続けたであろう自分への悔いを知ったのです。兄たちもまた、ユダが義しい人であることを認めていたので、兄弟を代表してユダを立て、ユダの嘆願に言葉をはさむ者はいなかったのです。

 ヨセフが正体を明かし、「わたしはヨセフです。お父さんはまだ生きておられますか」と言ったとき、兄弟たちは答えることができませんでした。兄たちが答えられなかったことについて新共同訳では「驚きのあまりに答えることができなかった」とありますが、ヘブライ語原典では「彼らは彼の前で怯えて、答えることができなかった」とあります。



45:4-13
 ヨセフは兄弟たちに言った。「どうか、もっと近寄ってください。」 兄弟たちがそばへ近づくと、ヨセフはまた言った。「わたしはあなたたちがエジプトへ売った弟のヨセフです。しかし、今は、わたしをここへ売ったことを悔やんだり、責め合ったりする必要はありません。命を救うために、神がわたしをあなたたちより先にお遣わしになったのです。この二年の間、世界中に飢饉が襲っていますが、まだこれから五年間は、耕すこともなく、収穫もないでしょう。神がわたしをあなたたちより先にお遣わしになったのは、この国にあなたたちの残りの者を与え、あなたたちを生きながらえさせて、大いなる救いに至らせるためです。わたしをここへ遣わしたのは、あなたたちではなく、神です。神がわたしをファラオの顧問、宮廷全体の主、エジプト全国を治める者としてくださったのです。
 急いで父上のもとへ帰って、伝えてください。『息子のヨセフがこう言っています。神が、わたしを全エジプトの主としてくださいました。ためらわずに、わたしのところへおいでください。そして、ゴシェンの地域に住んでください。そうすればあなたも、息子も孫も、羊や牛の群れも、そのほかすべてのものも、わたしの近くで暮らすことができます。そこでのお世話は、わたしがお引き受けいたします。まだ五年間は飢饉が続くのですから、父上も家族も、そのほかすべてのものも、困ることのないようになさらなければいけません。』 さあ、お兄さんたちも、弟のベニヤミンも、自分の目で見てください。ほかならぬわたしがあなたたちに言っているのですエジプトでわたしが受けているすべての栄誉と、あなたたちが見たすべてのことを父上に話してください。そして、急いで父上をここへ連れて来てください。」


 ヘブライ語原典では「そしてヨセフは彼の兄弟たちに言った。『どうぞ私の所に近寄ってください』と。それで彼らは近づいた。するとヨセフは言った。
 『私は、あなた方がエジプトに売った、あなた方の兄弟ヨセフです。しかし今、あなた方の目に深く悲しまないでください。またあなた方の目に怒らないでください。なぜなら、あなた方の前に(あなた方より先に)命を保つために、神が私をここに遣わしたからです。なぜなら、この地の中に2年間、飢饉がありました。そしてさらに耕す事も刈り入れもできない5年間があります。それで神は私をあなた方の前に遣わしたのです。この地にあなた方のために生存者を残しておくために、そして重大な脱出のために、あなた方に属する者たちを生かすために、です。
 今、あなた方が私をここに送った、そうでなく、神が私をここに送ったのです。そして神が私を、ファラオの父(指導者、顧問)に、ファラオの家のすべての顧問に、そしてエジプトの全地を治める者に置いたのです。
 急いで、私の父の所に上り、彼に、あなたの息子ヨセフはこのように言った、と言ってください。『神が私をエジプトすべての主人(指導者)として置かれました。私の所に、立ち止まることなく下ってください。そして、ゴシェンの地に住んでください。あなたとあなたの息子たち、そしてあなたの息子たちの息子たち(孫たち)は、私の近くに居られるように。またあなたの羊の群れとあなたの牛、そしてあなたに属するすべてのものを(携えて)。そうすれば私はそこであなたを養いましょう。なぜなら、さらに5年間、飢饉があなたとあなたの家を襲い(それによって)貧困にならないために。そしてあなたに属するすべてがが貧困にならないためにです。御覧下さい。あなた方の目は、私の兄弟の目とベニヤミンの目は、私の口があなた方に話していることを見ているのです。(兄たちやベニヤミンはその目で確かに私ヨセフが話していることを直接聞いているのですから)。あなた方は私の父に告げてください。私のエジプトでの栄光のすべてを、そしてあなた方が見たすべてのことを。あなた方は急いでください。そして私のお父さんを連れて、ここに下ってください。』

 ヨセフは怯える兄弟たちに自分に近づくよう言い、近づいた兄たちに話しかけました。
 エジプトの支政者と思っていた人がヨセフであることを知って兄たちは怯えます。しかし、ヨセフは兄たちにすべては神様のご計画で、かつて父ヤコブに語られた神様のみ言葉が成就するため(重大な救出)であることを話しました。 
 かつて神様はヨセフの父ヤコブに、次のように言われていました。
『わたしは全能の神である。産めよ、増えよ。
 あなたから一つの国民、いや多くの国民の群れが起こり
 あなたの腰から王たちが出る。
 わたしは、アブラハムとイサクに与えた土地を あなたに与える。
 また、あなたに続く子孫にこの土地を与える。』(創35:11-12)と。

 すべては神様のご計画を成就するためだったと、ヨセフは兄たちに伝えたのです。
 彼らの父ヤコブは兄エサウとの元がえしを成功させました。そうして生まれたのが12人の兄弟たちです。ただし、ヤコブが元がえしを成功させたからといって、サタンの血は受け継いでいるのですから、サタンの性質は持って生まれています。元がえしにより、サタンの性質よりも神様から受け継いだ性質の方が強く生まれて来てはいますし、自分が持つ神様の性質によって、自分の中のサタンの性質に打ち勝つことも容易なはずです。
 
 しかし、ヨセフが見た夢の話を聞いた兄たちの心の中には、かつてカインがアベルを妬んだ、あの感情が芽生えました。ただし、兄たちはその感情を抑えることはできたはずです。
 カインはその感情を抑えることができず、行ってしまい、アベルを殺してしまいました。
 ヨセフの兄たちはカインと違って、自分でヨセフに手をくだそうとはしませんでしたし、長子のルベンと、長子権を継承するユダは、ヨセフを何とかして助けようとしています。
 しかし、神様のご計画は、もっと深大でした。この妬みの感情をいっぺんに解決する方法をとられたのです。兄たちはヨセフに対して妬み、ヨセフはエジプトに売られてしまいますが、そのヨセフがエジプトの最高権力者となります。そして兄たちは自分たちがしたことを悔い、それによって妬みの感情を浄化していくのです。
 そして、ヨセフによって許されることで、彼らの遺伝子に継承されていたサタンの性質は浄化されていくのです。
 なんと神様は、アブラハムが献げ物について失敗して、子孫がエジプトに下って400年後にカナンに戻ってくると言われた時点で、すでにこのすべてをご計画されていたことになります。
 ただ、12人の中でサタンの性質を浄化していないのがベニヤミンです。そのため、ベニヤミンの子孫たちは後に大きな問題を起こすことになります。



45:14-20
 ヨセフは、弟ベニヤミンの首を抱いて泣いた。ベニヤミンもヨセフの首を抱いて泣いていた。ヨセフは兄弟たち皆に口づけし、彼らを抱いて泣いた。そののち、兄弟たちはヨセフと語り合った。
 ヨセフの兄弟たちがやって来たという知らせがファラオの宮廷に伝わると、ファラオも家来たちも喜んだ。ファラオはヨセフに言った。
「兄弟たちに、こうするように言いなさい。『家畜に荷を積んでカナンの地に行き、父上と家族をここへ連れて来なさい。わたしは、エジプトの国の最良のものを与えよう。あなたたちはこの国の最上の産物を食べるがよい』。また、こうするよう命じなさい。『エジプトの国から、あなたたちの子供や妻たちを乗せる馬車を引いて行き、父上もそれに乗せて来るがよい。家財道具などには未練を残さないように。エジプトの国中で最良のものが、あなたたちのものになるのだから』。」


 ヘブライ語原典では「そしてヨセフは、弟ベニヤミンの首の上に倒れた(首を抱いた)。そして泣いた。ベニヤミンもまた彼の首の上で泣いた。ヨセフは彼の兄弟たちすべてに口づけした。そして彼らのために泣いた。そしてその後、彼の兄弟たちは彼と共に話した。 
 ヨセフの兄弟たちが来たという声は、ファラオの家に聞こえた。それは、ファラオの目と彼の僕たちの目に良かった。ファラオはヨセフに言った。『あなたの兄弟たちにこう言いなさい。こう行いなさい、と。【あなた方の家畜に荷を積み、カナンの地に帰れ。そしてあなた方の父とあなた方の家(家族)を連れ、私のところに戻れ。そうすれば私はあなた方にエジプトの地の最良のものを与えよう。そしてこの地の肥えた者を食べるがよい。そしてあなたにこのように行うよう命じる。あなた方のためにエジプトの地から馬車を引いて行け、あなた方の幼児のため、あなた方の妻たちのために。そしてあなた方の父を連れて、戻って来なさい。あなた方の目があなた方の家具について惜しむな。なぜならエジプト全地の最良の品が、あなた方のものとなるのだから』。」です。

 ヨセフはベニヤミンの首を抱いて、懐かしさのあまり泣きました。ベニヤミンもヨセフの首を抱いて泣きました。ヨセフは兄たちすべてに口づけし、彼らが悔い続けてきた日々を憐れんで、泣きました。
 新共同訳ではヨセフが兄弟たちを「抱いて泣いた」と記されています。ヘブライ語原典では「彼らのために泣いた」です。このヨセフが兄たちのために泣いたのは、ユダが語った真実の言葉のゆえに、彼らを深く憐れんで泣いたことがわかります。この一節から兄たちの心の中にあった『罪の衝動の感情』は浄化されていくことになり、ヨセフと、そして神様との和解がなされたのです。そして彼らはエジプトの支政者と僕たちとしてではなく、兄弟同士として話し合いました。
 ヨセフの兄弟たちがエジプトに来たという知らせは、ファラオの宮殿にまで伝わりました。信頼するヨセフの兄弟たちが訪れたことは、ファラオや彼の側近たちにとって喜ばしい出来事でした。ファラオはヨセフに言いました。
「あなたの兄弟たちにこのようにするよう命じなさい。あなた方は家畜に荷を積んでカナンに戻りなさい。そして父上と家族たちを連れて、エジプトに戻りなさい。そうするならば、私はエジプトの最良のものを父上と親族に与えよう。そしてエジプトで肥えたものを食べるがよい。父上と幼児、そして妻たちの迎えのために馬車を用意し、父上はその馬車にお乗せしてエジプトに戻ってきなさい。カナンの地に今ある家財道具などを惜しんではならない。なぜならエジプトの最良の家財道具があなた方に贈られるのだから。」と



45:21-28
 イスラエルの息子たちはそのとおりにした。ヨセフは、ファラオの命令に従って、彼らに馬車を与え、また道中の食糧を与えた。ヨセフは更に、全員にそれぞれ晴れ着を与えたが、特にベニヤミンには銀三百枚と晴れ着五枚を与えた。父にも、エジプトの最良のものを積んだろば十頭と、穀物やパン、それに父の道中に必要な食糧を積んだ雌ろば十頭を贈った。
 いよいよ兄弟たちを送り出すとき、出発にあたってヨセフは、「途中で、争わないでください」と言った。兄弟たちはエジプトからカナン地方へ上って行き、父ヤコブのもとへ帰ると、直ちに報告した。
「ヨセフがまだ生きています。しかも、エジプト全国を治める者になっています。」
 父は気が遠くなった。彼らの言うことが信じられなかったのである。彼らはヨセフが話したとおりのことを、残らず父に語り、ヨセフが父を乗せるために遣わした馬車を見せた。父ヤコブは元気を取り戻した。
 イスラエル言った。
「よかった。息子ヨセフがまだ生きていたとは、わたしは行こう。死ぬ前に、どうしても会いたい。」


 ヘブライ語原典では「そしてイスラエルの息子たちはそのように行った。そしてヨセフは彼らに、ファラオに従って荷馬車と旅のための携行食糧を与えた。彼らすべてに彼はそれぞれに衣服の着替えを与え、ベニヤミンには300枚の銀と5枚の衣服の着替えを与えた。そして彼の父にこのように送った。10頭のろばにはエジプトの最良の品から選んで積み、10頭雌ろばには穀物とパンと旅のための父の食糧を積んでいた。彼は彼の兄たちを送り出した。そして彼らは行った。ヨセフは彼らに言った。『旅の途中でけんかしないでください』と。
 そして彼らはエジプトから上った。彼らは父ヤコブの所であるカナンの地に帰った。そして彼らは彼に話した。『まだヨセフは生きています。しかも彼はエジプト全地を治める者になっています』と。それで彼(ヤコブ)の心は麻痺した。なぜなら彼は彼ら(の言葉)を信じ(られ)なかったからだ。
 そして彼らは父に、ヨセフが話した言葉のすべてを話した。そして彼はヨセフが彼を乗せるために送った荷馬車を見た。そして彼らの父ヤコブの霊は生き返った。そしてイスラエルは言った。『素晴らしい。私の息子ヨセフがまだ生きている。私は行こう。そして私が死ぬ前に彼を見よう』。」です。

 イスラエルの息子たち(ヨセフの兄たちとベニヤミン)は、ヨセフの言うとおりカナンに向けて出発することにしました。ヨセフはファラオの言葉に従って、父イスラエルと親族一同のために荷馬車を用意し、彼らに与えました。また彼らの旅路のための食用とそれぞれに着替えを与えましたが、ベニヤミンには300枚の銀と5枚の着替えを与えました。父のための贈り物として、エジプトの最良の10頭のロバたちと10頭の雌ロバたちには、穀物とパンのほか父の食糧を積んでいました。こうして兄たちはヨセフに見送られ出発することとなりました。旅の途上、食糧や着替えの衣服のことなどで争わないよう、ヨセフは前もって兄たちに言いました。

 兄たちはカナンの地に戻りました。そして父イスラエルに言いました。「ヨセフはまだ生きています。しかも彼はエジプト全土の支政者となっています」と。それを聞いたヤコブは、あまりにも唐突な話に気が遠くなりました。息子たちが話す事実を信じることが出来なかったからです。
 兄たちは気が遠くなっている父ヤコブに、ヨセフが“このように父上に伝えてください”と言ったすべての言葉を話しました。それを聞いて、父ヤコブはヨセフを失ったことによって落胆していた魂が生き返るように元気になりました。
 そしてイスラエルは言いました。「なんて素晴らしいことだろう。私の息子ヨセフがまだ生きているだなんて。行こう。そして私が死ぬまでに一目、彼に会いたい」と。




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